被保険者の標準報酬月額を見直すとき(算定基礎届)
定時決定の手続き(算定基礎届)
昇給等により被保険者の報酬は変動することがあります。そのようなときでも実際の報酬額と該当すべき標準報酬月額との間にズレが生じないように全ての被保険者の報酬月額について毎年1回見直しを行い、実態に合った標準報酬月額の決定をすることになっています。これを「定時決定」といい、その手続きが算定基礎届です。
年に一度標準報酬月額を見直す
昇降給や各種手当などにより被保険者の受ける報酬(月額給与)は毎月異なる場合があります。
そのため実際の報酬と標準報酬月額との間に差が生じてくることがあるため、年に1回、全ての被保険者について標準報酬月額の見直しを行うことになっています。これを「定時決定」といい、そのための届を「被保険者報酬月額算定基礎届」、略して算定基礎届と呼んでいます。この手続きには専用様式の書面による届出と、CDによる届出、電子申請による届出と3通りの方法があります。
算定基礎届の対象となる人、ならない人は資格取得・喪失月等によって次のようになります。
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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なお、定時決定は標準報酬月額(月額給与)の変動に関する手続きなので、総報酬制の実施後も、年3回以下支給される賞与等の変動には関連しません。
算定基礎届の記入方法
定時決定のための算定基礎届は、基本的には次のことに注意して記入します。(パート・アルバイトの⽅は算定の⽅法が異なるため次の項目にて説明)
①4月、5月、6月が対象 | 4月、5月、6月の3ヵ月間に実際に支払われた報酬が対象となる。 |
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②支払基礎日数が17日以上の月 ※短時間労働者の場合は11日以上 |
4月、5月、6月の3ヵ月間は、各月とも支払基礎日数が17日(※)以上の月を対象とし、17日(※)未満の月は除く。 |
③臨時的なもの・賞与は除外 | 4月、5月、6月の3ヵ月間のいずれも支払基礎日数が17日(※)以上ある場合でも、支払額の中に臨時的なものや年3回以下の賞与があれば除く。 |
④現物支給は金銭換算 | 4月、5月、6月の報酬に現物給与があるときは厚生労働大臣(健康保険組合)の告示額にしたがって金銭に換算する。 |
⑤平均額を計算する | 上記の①~④に従って計算された各月の報酬を合計して、その月数で割り平均額を求める。 |
パート・アルバイトの算定方法
パート・アルバイトの方は、一般の被保険者とは別に支払基礎日数によって算定の方法が異なります。
- ①支払基礎日数が3ヵ月とも17日以上あるときは、3ヵ月の報酬月額の平均額をもとに決定します。
- ②支払基礎日数が17日以上の月が1ヵ月以上あるときは、17日以上の月の報酬月額の平均額をもとに決定します。
- ③支払基礎日数が3ヵ月とも17日未満だが、15日以上の月が1ヵ月以上あるときは、15日以上の月の報酬月額の平均額をもとに決定します。
- ④支払基礎日数が3ヵ月とも15日未満のときは、従前の標準報酬月額で決定します。
同時に2つ以上の事業所に勤務する人は
同時に2つ以上の事業所に勤め、各事業所で被保険者としての条件を満たして報酬を受けているときは、各事業所から受けている報酬月額の合算額を基礎として標準報酬月額を決定します。この標準報酬月額によって保険料が算定され、その保険料は各事業所での報酬に比例して按分されます。
二以上勤務の対象者は専用の算定基礎届の用紙を当健保からお送りいたします。
保険者(年金事務所・健保組合)が算定する場合
以上のような計算の方法では標準報酬月額の算定が困難なときや著しく不当になるときは、保険者(年金事務所等・健保組合)が修正平均して算定します(保険者算定)。具体的には次のような場合が該当します。
- 4月、5月、6月の各月の支払基礎日数が17日未満
- 4月、5月、6月に病欠等で給料を受けていない
- 遡り昇給で4月、5月、6月のいずれかの月に差額を受けた
- 給料遅配で4月、5月、6月いずれかの月に3月以前の分を受けたか、4月、5月、6月いずれかの月の給料が7月以降になった
- 4月、5月、6月のいずれかまたは全部に低額の休職給かストライキにより賃金カットがあった、等
- 4月、5月、6月の平均額と年間平均額の間に2等級以上の差が生じるとき(年間平均)
~年間平均の要件とは~
「通常の方法で算出した標準報酬月額」と「年間平均で算出した標準報酬月額」の間に2等級以上の差が生じ、その差が業務上例年発生する場合※に対象となります。
「通常の方法で算出した標準報酬月額」(当年の4月、5月及び6月の3ヵ月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額)と「年間平均で算出した標準報酬月額」(前年の7月から6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額)の間に2等級以上の差が生じた場合であって、この2等級以上の差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合については、保険者算定の対象となります。
※業務の性質上例年発生する場合とは基本的に毎年4月~6月が繁忙期にあたるため、その期間中の残業手当が、他の期間と比べ多く支給される場合、または、基本的に毎年4月~6月が閑散期にあたり、その期間中の残業手当が他の期間と比べ少なく支給される場合をいい、単年度のみの繁忙(閑散)による報酬の増加(減少)は対象外となります。
年間報酬の平均で算定することの申立書
年間報酬の平均で算定する際の届出用紙
育児休業期間中の算定基礎届は
育児休業制度による休業期間中は、雇用保険の育児休業給付(基本給付金、職場復帰給付金)による所得保障のみで給与保障がされていないため、育児休業中の算定基礎届は次のような取り扱いになります。
- ①原則として、育児休業中の被保険者資格は継続するので、算定基礎届は提出します。
- ②報酬月額は保険者算定が行われ、従前の報酬月額を適用します。
介護休業期間中の算定基礎届は
介護休業制度による休業期間中も育児休業と同様に雇用保険(介護休業給付金)の所得保障のみとなるため、介護休業期間中の算定基礎届は次のような取り扱いになります。
- ①原則として、介護休業中の被保険者資格は継続するので、算定基礎届は提出します。
- ②報酬月額は保険者算定が行われ、従前の報酬月額を適用します。